給与明細の手当とは? 会社によって異なる様々な手当の簡単紹介(その1)
働いていると何らかの形で受け取る事になるのが給与明細。
今どきは自社ネットに繋いで各自で明細書をコピーする企業もあるようですが、働く上で最重要に近い個人情報でもあるため、ほとんどの場合は事業所代表などの重役から手渡しで受け取る場合が多いかと思われます。
そんな給与明細に目を通すと、基本給以外に様々な加給がなされている場合が多く、言うまでもなく加給項目が多いほどに生活はうるおい、少ないほどに基本給任せの生活になる事でしょう。
ここでは僕がこれまでの転職で目にしてきたり、実際に受け取った事のある加給項目についてを簡単に説明したいと思います。
例えばあなたがこの先に就職活動や転職活動を考えているのであれば、基本給とは別にこうした加給項目を視野に入れれば、入社前にして給料アップが狙えるかもしれませんね。
各種手当の表現
会社によって、また、給与明細の各項目によって各種手当は
- ○○手当
- ○○補助
- ○○加給
- ○○給
- ○○代
- ○○金
…といったようにそれぞれの表現が変化しますが、どれも何かしらの補填・加給という意味に変化はありません。
なので、ここでは僕個人が最もよく耳にしている『手当』という言葉で表現していきたいと思います。
残業であれば『残業手当』、通勤であれば『通勤手当』といった感じですね。
これから説明する各種手当の内容であなたの知らない珍しい項目もあるかも知れませんが、これら項目を予め知識に入れる事で自分にとって得のある会社を選ぶことも可能ですので、知っておいて損はないと思われます。
では参りましょう。
残業手当・時間外手当・時間超過手当…など
いわゆる『残業代』というものです。
ほとんどの会社で耳にし、勤続年数が浅く、ある一定の役職クラスに到達していない従業員に活用される項目です。
会社の定めた規定時間(1日の基本労働時間の最大は8時間、実働8時間か拘束時間含めの8時間かの判断は企業によって異なる)を超過した場合に従来支払われる金額に25%を増したもので、ここに深夜勤務などの条件が加わる事で%が上昇します。
深夜手当・深夜勤務手当…など
法律上の話で22:00~翌05:00までの勤務時間は『深夜』として扱われます。
この時間帯の勤務はそれだけで時給換算で25%が上乗せされるため、必然的に残業と同じ給料を得られる時間帯という事になります。
アルバイトの求人で深夜勤務の時給が高いのは、日勤時給に25%を上乗せした金額なんですね。
休日出勤手当・呼び出し手当・臨時業務手当…など
本来は休暇という事で会社に行かない日であっても、会社側に何らかの問題が発生するなどをしてその休暇の一部または全てがキャンセルされた場合の手当です。
会社が定める規定休暇には限りがあり、調整が可能な場合は休暇日程をズラすという事もありますが、これが叶わない場合は休日出勤として25%増しの手当が得られます。
また、会社によっては呼び出し1回に対して2000円など、給料以外に規定金額を支払われる場合もあります。
業務手当・実働手当…など
任された担当部門で実際に業務を取り組んだ場合に支払われる手当ですが、働き手にとっては通常業務のため気になる手当とは言えないでしょう。
基本給の仕組みが『拘束の意味での基本給+実際の仕事という意味での業務手当=会社の定める基本給』といった会社に多く活用され、わざわざ基本給と業務手当を分離するその理由の多くは、勤務エリアによって大きく難易度が変化するため不平不満を抑える意味で業務手当に差が設けられるといったものです。
なので例を挙げれば同じ会社内の業務であっても、
『誰にでも出来る業務の業務手当は5万円、技術が必要となる業務手当は10万円』
といった違いもあるという話ですね。
役職手当・管理職手当…など
一般正社員ではない上位クラスに与えられる手当の事です。
単なる正社員が手当ゼロとすると、部門サブリーダーが+5000円、部門リーダーが+10000円、リーダー総括が+30000円、…といった具合に手当が上昇します。
これら役職手当はボーナス査定や倍率にも変化を与えるため、上位役職が多い賞与を得るのも納得できますね。
見込み残業手当・平均残業手当…など
多くの企業では一定以上の管理職になると残業手当というものが消滅し、代わって見込み残業手当というものが加給される場合があります。
見込み残業手当は会社によって基準が異なりますが、多くの場合は会社独自の平均時間を一括して支払うというものですので、言い方を変えれば平均以上の残業をしようがしまいが同じ手当は受けられるという事ですね。
また、こうした見込み残業という言葉を使わずに役職手当にあらかじめ上乗せされていたり、基本給という形で上乗せされているケースも存在します。
一方で『平均残業手当』とは、全社員に対して過去数年間の月間平均残業時間を算出し、毎月の残業時間を計算せずに既定の残業給を支払うという仕組みのようですが、ここ最近では36協定の強化などにより細かな算出が求められるため、この計算法は消滅するかも知れませんね。
特殊作業手当・危険物取扱手当…など
同じ会社内の業務でも危険を伴う部門が存在する場合もあり、同様に一般的には誰にでも出来るという話でもない作業が必要となる場合もありますね。
こうした業務に携わる人物は限られてきてしまい、その人なしには業務そのものが進まなくなるため、特別な加給がされる場合があります。
これらの手当はざっくりと月数万円という場合もあれば、1回の作業に対して加算されるケースもあってまちまちですが、『特殊・危険』という言葉もあって安い金額ではない場合が多いようです。
無事故手当・無災害手当・安全維持手当…など
事故が頻出してもおかしくない現場や1度の事故発生が重大事故になる危険性を秘める会社や部署に設けられる手当となります。
月の無事故を実現する事で発生する手当となりますが、当然ながら事故が発生すればこの手当は消滅します。
会社や事業所によっては連帯責任となり、誰かが事故を起こす事によってグループ全体がこの手当を受けられない場合もあるようです。
特に上位役職は少なからず管理という意味で関連付いているため、事故の発生時には影響を受けるでしょう。
補填手当・破損手当・業務外業務手当…など
物流や流通業界に多い手当の事で、例えば預かり物や商品の破損に対して自腹補填するための費用として考えられています。
具体的には1本100円の預かり物が市販の飲料であった場合、事業所がその損失をアレコレと連携を取って処理するよりは破損した人物が購入してきた方が早いという考えが持たれており、ならば初めからある程度のお金を払っておいて、その中でやりくりしてもらおうという話です。
法律的には業務上で発生したミスの自腹補填はご法度ですが、あらかじめ会社が補填分を準備している場合はグレー化する印象ですね。
ちなみに僕が知る限りで一番多い無事故(補填)手当は5000円または10000円です(毎月)。
これら補填分は年間を通じて6万円~12万円が自動的に給与として受けられるので、この範囲であれば問題を訴える従業員は少ないといった印象です。
もちろん、補填をする必要がなかった場合や補填してもお釣りが発生した場合の返金は発生しません。
ちなみに『業務外業務』というのは、補填に必要とする品を購入するのが勤務時間外となるため、このような表現をすると聞いた事があります。
評価手当・実績手当・業績手当…など
毎月、または一定の期間内での評価に基づく手当の事です。
営業職にとっては非常に大きな意味を持つ項目であり、順調に仕事が進んだ時にはこの手当も弾む事でしょう。
しかし、これらの手当は一定期間内に通用するものであって半永久的ではありませんので、次の反映期間の評価が下がれば当然ながら手当額も下がるというデメリット付きです。
屋内作業などの業務においては従業員によって実績数のばらつきが必然的に問題化するもので、全てを歩合制に出来ない現場において月の追加報酬として評価手当が支給されるケースもあるようです。
この評価手当は数字や実績がモノを言うため役職による上下関係は一切無視されるのが特徴のようです。
通勤手当・駐車場手当・燃費手当…など
自宅と勤務地を往復するために消費する燃費や交通費の補填と、会社によっては駐車場が限られる場合もあるため、その駐車場に要する費用の補填項目となります。
公共機関による移動の場合は実質的な費用が表面化するため実費での手当を受ける事が可能ですが、自動車通勤などの場合は車種や移動ルートによって費用が不透明な部分があるため、会社が定義した補填を行う場合がほとんどです。
自動車通勤に特に多いのが支払額の上限ですが、詳しく書いた記事がありますので気になる方はそちらへどうぞ。
資格手当・有資格手当…など
会社が必要とする資格を有していれば、自動的に手当として支払われる加給の事です。
解釈は『仮に今は使用しなくとも、いつでもその仕事を任せられる』というものですが、シビアな会社となればその業務を行って初めて手当の対象になるという場合もあるようです。
資格に対する手当の多くは1種に付き数十円~数百円という場合が多い印象ですが、有する数に応じて自動的に加給してくれる会社であれば資格の数に応じて所得を増やす事が可能でしょう。
また、資格手当の計算方法も会社によって異なりがあり、例えば1時間あたりに規定金額の加算という方式を取る所もあれば、出社日数×規定手当…という所もあります。
家族手当・扶養手当・第〇子手当…など
企業の正規社員以上に与えられ易いカテゴリかも知れません。
既婚で相手が扶養範囲内であれば一定の手当が約束され、子供1人に対しても追加手当が発生するというものですね。
多くの場合は扶養者1人目(妻または夫)に対する支払いが10000~20000円、その子供1人に付き5000円前後の支払いというのが一般的のようです。
ただし子供は多ければ良いという話でもなく、会社によっては子供の数の上限が持たれていたり、第一子は8000円、第二子は5000円、第三子以下は一人に付き3000円…など、細かな設定を設けている場合もあるようです。
各種手当(その1)のまとめ
簡単にまとめるつもりが非常に長くなりましたので、続きは(その2)にて紹介します。
世の中の会社にはそれぞれの目玉が存在するもので、各種の『手当』とはそういった中の1つと捉えております。
しかし、全ての会社で多くの手当が存在しているかと言えば決してそうではないため、せっかく入社し、長く務める覚悟があるのであれば、なるべく多くの手当が得られる会社に赴きたいものですね。
という事で続きが気になる方は(その2)へどうぞ。
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