赤チン災害ってどんな労働災害を言うの? 実体験に基づくカンタン説明

身の周りの労働災害

赤チン災害ってどんな労働災害を言うの? 実体験に基づくカンタン説明

どんなに危険が少ない職場であっても、ちょっとした不注意で小さな怪我をした経験はありませんか?

誰もが『おっちょこちょいだなぁ』なんて言ったり言われたりと、なんだかほのぼのとするワンシーンは多くの人が経験している事だと思います。

でも、ちょっと当時を振り返って考えてください。

確かに笑って済まされた赤チン災害でしょうが、その赤チン災害が一歩深入りした場合、重大な労働災害となった可能性はないでしょうか?

ここでは『赤チン災害実例』を中心に、実際に発生した軽度の怪我をする過程を記すと共に、実は重大な労働災害に繋がったかも知れない参考例を付け加える事で、赤チン災害の怖さを伝えたいと思います。

また、『ホワイト企業の赤チン災害実例』と、加えて『ブラック企業の赤チン災害実例』も紹介します。

あなたが過去の経験や現状の職場の対応と照らし合わせてホワイト企業と断言できるならば、どうぞそのまま継続して勤務してください。

反対に『あ…ブラックかも…』と気付いてしまった場合には、十分な警戒と共に安全対策の再確認をした方が良いかもですね。

まずは『赤チン災害』の意味から説明したいと思います。

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そもそも『赤チン災害』ってどんな労働災害を指すの?

一般的に表現される労働災害とは簡単に言って『従業員の怪我の発生』または『職場環境による従業員の体調悪化』を指します。

ただ、多くは勤務中の怪我の発生を意味する場合が多く、例えば毒性を有する有機溶剤を使用した長時間勤務中に意識不明に陥るなど、一見して外傷の見当たらない体調の変化などに関してはあまり使われない印象ですね。

労働災害発生時における重篤度(災害の程度)は4段階存在し、

  1. 致命傷:死亡・失明・手足の切断
  2. 重傷:長期間療養を必要とする重度の怪我(骨折・大やけどなど)
  3. 軽傷:医師による措置を必要とする怪我
  4. 軽微:擦り傷や切り傷といった医師を必要としない怪我・打撲など

と、下に来るほど災害の程度が低くなります。

赤チン災害とは上記の4段階でいう

『4.軽微:擦り傷や切り傷といった意思を必要としない怪我・打撲など』

の部分であり、災害発生瞬間は確かに痛い思いをしたものの、多少時間が経過すれば気にならなくなる痛みや、皮膚表面ににじみ出る程度の出血の事を指します。

まさにひと昔で言うところの『赤チン付けてりゃ治る』という程度の怪我の事ですね。

ちなみに赤チンとは、そういった愛称で親しまれた消毒液の事です。
(正式名称:マーキュロクロム液/三栄製薬株式会社)

赤チンを知らない方々に代替的な言葉を言うならば、

バンソウコウ貼ってりゃ治る

ツバつけときゃ治る

と言うような、とにかく放って置いても治ってしまうような怪我を赤チン災害と表現するのです。

けっきょく赤チン災害って労働災害なの?

上記のように書き表すと、赤チン災害は発生そのものが軽視される傾向にあり、実際、どんなニュースを覗き見しても赤チン災害を声高に問題視するメディアは存在しませんね。

『〇×企業の男性従業員(24)、勤務中に小指切り傷、総出血量2滴足らず!! 安全対策に不備あり!? 〇×企業緊急記者会見』

…みたいなニュースは僕も目にした事がありません。

ですが、例え軽微な災害であっても立派な労働災害という扱いになります。

ではなぜ、笑って済まされる赤チン災害が考えるだけでも苦痛を感じさせるような重篤な労働災害の仲間として扱われるのでしょうか?

下記を読み進めれば否応なしにも理解できる筈です。

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赤チン災害実例

では、僕がこれまで見聞きした赤チン災害の実例を紹介すると共に、赤チン災害の一歩先を考えてみましょう。

実例1:ペーパーカッターで指を挟む

事務所内でありふれたペーパーカッター。

複数の紙をまっすぐに切り分けるのに重宝しますね。

そんなペーパーカッターを利用中、勢い余って指を挟んでしまいました。

幸いにも切っていた紙は10枚程度。

紙を抑えていた左手の人差し指・中指・薬指は挟んでしまいましたが、大した力を入れていたわけではないので『痛い』で済みました。

ちょっと跡が気になりますが、そのうちそれも消えるでしょう。

傷も見当たらない赤チン災害で済みました。

ペーパーカッター利用 …の、1歩先

横文字でペーパーカッターと当たり前に呼びますが、その正体は小型裁断機です。

数枚を切り分けるには少量の力量で済みますが、数十枚ともなればそれなりの力量を必要としますね。

何回も切り分ける行為を面倒に思う人は、後先考えずに体重を乗せる場合があります。

勢いで数十枚を切ろうという考えですね。

しかし、そんな勢いで指を挟んだとすれば、『痛い』で済むでしょうかね?

相手は『裁断機』。

もともと断つ用途で使用する刃を勢いよく振り落とす行為ですね。

自分の指もろとも。

仮に切断を免れても、相当の怪我を負うと思いますよ。

実例2:ポケット内部のカッターで足(太もも)を切る

職場あるある実例の1つ。

カッターは色々な場面で役立つので常に持ち歩いている。

そんな人はきっと多いでしょう。

カッターホルダーの装着は面倒な上に腰が出っ張ってしまって動きにくい。

なので、いつもズボンのポケットに入れて移動します。

そんなある時、やけに太ももがチクチク痛む。

確認すると、太ももに僅かな切り傷が出来ていた。

どうしてかと思ってよくよく確認すると、ポケットの中のカッターの刃が僅かに顔を出していた。

刃の収納確認してなかったな。

思いっきり刺さらなくてよかった。

ポケット内部のカッター …の、1歩先

いつも使うとはいえ、カッター等の刃物をポケットに入れて移動するのはどうかと思います。

刃が出ていれば当然ながら歩調に合わせて衣服を傷め、その下の皮膚を傷めますね。

誰もが自傷行為を喜ぶ筈がありませんので、ポケットにカッターを収める際は少なからず刃の完全収納を意識する事でしょう。

ですが、カッターの留め具は案外弱く、劣化したカッターは下に向けるだけで刃が飛び出してしまう場合もあるのですね。

ポケットに入れたその時は確実に収納されていた刃。

その刃が歩行と共に、少しずつ出てきているなんて考えもつきませんね。

そんな時、ついうっかり壁なり扉なりにカッターを忍ばせた足をぶつければ?

何センチ突き刺さるでしょう?

実例3:よろめいたけど転落回避。手すりに体を打つ

高所作業を行うため、文字通り高所へ。

大体の作業時間はいつもの場所にいつものモノを引っ掛けるだけなので、実際の作業時間は数秒。

安全用具の装着には準備やら確認やらで10分以上掛かるけど、まあ、ルールなのでルールに従って装着を心掛けている。…面倒だけど。

ところで今日は妙に風が強かった。

作業場所である高所に到達したとたん、強風に煽られて倒れかけた。

作業場には手すりがあって、背中を強打。

メチャメチャ痛かった。

その上、手すりから体が乗り出してしまい、危うく落ちかけた。

でも結果的に、安全用具のロープがあったので落ちずに済んだ。

これはこれで痛かったけど。

その後、仲間にその事を言ったらバカにされた。

『強風の中で強風を意識しないお前が悪い』

だって。

よろめいたけど転落回避。手すりに体を打つ …の、一歩先

安全用具・安全道具は命への危害性を軽減するための存在であり、結論から言ってあらゆる痛みを軽減するものではありません。

また、『身に着けて使用する』という性質上、使用すれば少なからず身動きの自由度は制限されます。

むしろ身に着ける事によって大なり小なりの不快感を覚えるのが自然でしょうね。

ルール違反の基本的発生原因と言えば、その不快感。

これをどうにか回避するための身近にして究極手段が手抜きであり、ルール違反ですね。

高所作業はその時点で命の危険性を秘めます。

なにせ、人間は飛べませんからね。

そんな当たり前の条件下で、先ほどの『風に煽られた』という事態に遭遇した場合、手すりに背中を打って、身が乗り出してしまい、…その先に自分を守るものが何も無い。

運悪く高所作業場から転落したとしましょう。

同じ高所と表現しても、地上50メートルも高所。

地上100メートルも高所。

ですね。

ところで人は成人すると、転ぶだけで命を落とす場合もありますね。

これは未熟な子供に比べて体重が増え、身長も伸びている事から地面への衝撃に違いがあるためです。

あなたの想像する『高所』がどの程度かは分かりませんが、イメージする高所より頭から墜落した場合、あなた場無事でいられるという自信が持てますか?

嫌な条件を満たしてしまえば、『バカにされる言葉』すら耳に届かなくなりますよ。

…まあ、確定的に陰でバカにされ続ける事でしょうが。

 

 

…とまあ、赤チン災害と重篤な災害の違いの例でした。

発生する労働災害の結末は両極端でしたが、それぞれの結果を生むための条件は小さな違いである事が理解できたかと思います。

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赤チン災害のまとめ

4段階に分けられる労働災害のうち、最も軽微な災害の発生を赤チン災害と表現する事は理解できたでしょうか?

赤チン災害は毎日の仕事に限らず、日々の暮らしの中でも気を緩めば発生する事故のようなものです。

ただ、発生条件は『いつでも』ですが、そこにちょっとした別の条件が加わるだけで、簡単に重度が増してしまうのも赤チン災害の怖い所でもありますね。

怪我をしない人生を歩み続け、怪我を知らないままに人生を終えるのが最高の理想でしょうが、なかなかそうはいきません。

ですが、怪我をした瞬間の意識・姿勢・服装・装備によって、同じ原因が全然異なる結果に分岐する事も珍しくはありません。

そしてそれら発生してしまう事故を最小限に抑える手段として『ルール』が存在しますので、ルールに沿って行動する事を面倒に考えてしまう方は、いま一度ルールを眺め、どんな意味があるかを考えると、その大切さが理解できるのではないでしょうか。

おまけ。人身事故の世代交代

これは僕が抱く勝手な思い込みかも知れませんが、なんだか重篤な労働災害に見舞われる方って

未熟者 or 超・熟練者

…の、どちらかに偏っている気がするんです。

これって何でしょうね?

僕なりに考察してみます。

未熟者に重篤な労働災害が多い理由

たぶん、誰でも理解できる話だと思います。

未熟者の代表と言えば、新人。

その他には基本的に仕事をする気がないため、仕事を覚える気が無い人物。

集中力に欠け、うろ覚えが多い人物。

物事の危険性を軽視する傾向が強い人物。

…まあ、言うまでもなく、まとめて未熟者ですね。

この中の誰が重篤な労働災害に見舞われても、妙な言い回しですが納得の範疇でしょう。

入社間もない新人さんが労働災害に見舞われるのは、本当に不運な話ですね。

しかし、その他は問題外。

成るべくして成った災害と言えるでしょう。

超・熟練者に重篤な労働災害が多い理由

では、どうして熟練者が重篤な労働災害に見舞われ易いか?

これが問題です。

わざわざ熟練者の前に『超』を付けました。

これはグループ内の中心的人物という意味を持たせた、僕なりの配慮です。

 

では考察します。

超・熟練者は説明するまでもなく、その現場のエキスパートである事でしょう。

仕事の流れはもちろん、安全の確保や見落としがちな危険個所。

担当現場の事なら辞書にも負けない知識。

それと、作業性だってちょっとばかり高価な精密機械程度では太刀打ちできる筈もない技術の持ち主です。

だからこそ、新人や部下に様々な角度から教育を施す事が可能であり、時代の変化もあって安全には口うるさいわけですね。

ですが、口うるさく安全を唱えるのはあくまで身内・部下に対して。

自分は考えるまでもない歴然たる経験があり、そもそもその蓄積が今現在という経験に繋がっている。

故に自分に事故という名の牙が向かないのは、間違いなく寸分違わない経験という名の計算から答えが算出されるわけで、労働災害の被災者になるとは考えられない。

…とかなんとか、そこまで考えているかどうかは別の話として、結局は自分が被害を被るとは考えていないワケですね。

そんな超・熟練者の心の内部はこうです。

『新人や部下には絶対怪我をさせない。
未熟故にいつ事故が発生してもおかしくない。
どんな作業であっても危険個所の手出しは細心の配慮が必要だろう。
危険な作業は自分が処理しなくては。
危険を軽視する新人や未熟者には任せられないからな。
自分が先頭に立って危険個所の処理を行わなければ。
長年の経験があり、どこがどう危険かを知り尽くしている。
仮に危険に直面しても、回避できる術を知っている。
そんなこんなで今まで無被害を実現してきた。
だから、誰かに頼らず、自分が出る…!』

…とか、そこまで責任感メラメラかどうかは知りませんが、熟練者ほど危険の先頭に立つ傾向が強いのは確かです。

業務中に起こるトラブル解消は経験者ほど知識が多く、当然ながら解消までの時間も短縮されるでしょう。

しかし、『いつも通り』とはどこの世界でも不意に、僅かなズレが生じるもので、その僅かな違いが時に致命的な出来事を生むわけですね。

この話の場合は仮に失敗しても、

限りなく赤チン災害で済まされる危険な出来事が、赤チン災害を外れると一生涯の怪我に繋がる。

という事です。

一生涯の怪我なのですから、当然ながらその先に待つのは『再起不能』です。

何回。何十回・何百回と赤チン災害で難を逃れていた超・熟練者であっても、1度の重篤な労働災害に見舞われてしまえば、その後の人生は暗転する事が確約されるわけですね。

そして、そんな超・熟練者が致命傷となる労働災害に見舞われた後、次の超・熟練者が自然誕生します。

誰だと思います?

答えは単純、『№2』です。

それまでの№1が重篤な労働災害によって姿を消したならば、後続の№2が№1に繰り上がるのは自然な現象ですね。

そんな元№2は、もともとの№1の背中を見て育ってきた。

ならば、自分が№1になった際に行うべき行動と持つべき考えとは…?

これが、熟練者に限って多く発生してしまう、重篤な労働災害発生のメカニズムです。

どんなに優れた先輩の行動であっても、危険と感じるものならば即座に打ち止めにするべきでしょう。

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