日本の『おもちゃ屋』の考えを変えた企業
おはようございます! すえです!
高校2年までに3件の同系列ストアーと新聞配達朝夕刊、それとパチンコ屋さんの閉店後清掃業務というアルバイトなどを経験した僕ですが、
それらの業務が終了した先には(終了というか、退職)、初めにあった考えの『しばらく遊ぶ』という気持ちがすぐに萎えてしまい、毎日の暇を感じてすぐにアルバイトをする事になりました。
そんなアルバイト先になったのは、前職での経験を何一つ活かす事のない『おもちゃ屋さん』です。
なお、アルバイト経験談ではなく、『社員としてのおもちゃ屋さん』を知りたい場合は以下へどうぞ。
実際問題、日本上陸初の店舗
それまでの僕の常識内に存在する『おもちゃ屋さん』といえば、幼児から中学生当たりをターゲットにした玩具店が印象でしたが、
こちらでは海外からの日本進出とあって基本思考が異なるようで、赤ちゃんの世話に必要なものから取り揃えている会社でした。
お店全体に取り揃えられる玩具の対象年齢は14歳までという事で、確かにそういった年代が興味を引きそうなアイテムばかりが取り揃えられていましたね。
まあ、ここまで言うと、どんなおもちゃ屋さんかが想像できると思いますが、ここは僕の経験談であって企業紹介ではないため、企業名は伏せておきますね。
広すぎた店内、広すぎたバックヤード
僕の知っている、または出入りするおもちゃ屋さんとはかけ離れた面積を有するこの店舗は、一言に巨大でした。
一般市場で見かける可能性があるものは全てという勢いで取り揃えられており、そこに海外のおもちゃも並ぶわけですから相当なものです。
加えて自転車系統…。自転車をおもちゃとして考えるのは個人的には不一致が生じるのですが、まあ、お店側が取り揃えているのだから『おもちゃなんだろう…』と、納得し切れない納得をしましたね(笑)。
そんなだから、売り場面積は非常に広く、1フロアのみの店舗内でも子供の迷子は結構な頻度で発生していました。
でも、これは『売り場側』の話。
売り場にそれだけの商品があるという事は、同等かそれ以上の在庫が存在します。
そんなバックヤードはと言うと、…もう、迷路でしたね。
自転車を思い浮かべてみてください。
多くの人はすぐに乗れる形になった自転車を思い浮かべるでしょうが、アレは組立が完成した姿です。
自転車の多くは他の製品同様、分解された状態で箱に詰められて入荷するため、べダルやサドル、ハンドルは分離している状態なんですよ。
ということで、保管に必要なサイズを可能な限り小さく収めた結果、箱入りのその姿は全てペタンコなんですね。
そんなものが在庫としてバックヤードをぎっしり埋め尽くしている状態なので、売れた場合に『準備しろ』と言われても、簡単には探し当てる事が出来ずに苦労しました。
イメージとしては、パズルの外装箱にイラストが無く、型番だけが表記されたものを想像してください。それの自転車サイズです。
業務詳細
セキュリティーブースと呼ばれるカウンター内での対応が与えられた業務でした。
レジで商品代金を支払ったお客さんがその証明カードをブースに持ち込み、それを僕が確認して同じ型番の商品を探して手渡す。といった内容です。
セキュリティーというだけあって、盗難に遭い易い商品が格納されているわけですが、この管理は色々と理に叶っていると当時の僕にも思えました。
まず、現品の全てがバックヤードに保管されているため、盗難が防げることはもちろん、在庫管理の簡素化、他の客が触れる事で発生する落下などの損傷も最小限に防げますからね。
このお店で定められた貴重品は『ゲームソフト』と『自転車』の2点でしたので、実質的に僕の管理業務はこの2種のみに限定された仕事となります。
果たして自転車の盗難とはどんなものかと考える部分もありますが、そこは海外企業というだけあって、自国での盗難事情は日本のソレとは異なっていたのでしょう。
担当/最終役職
担当:セキュリティーブース
最終役職:アルバイト
通勤
片道3キロ程度、スクーターで約5分。
労働時間
09:00~15:00の変則シフト
定時制通いのため残業は無し
繁忙と閑散が激しく入り乱れる業種なので、アルバイトとして安定した収入が得られるかといえば、それは違いましたね。
それまでの僕の常識内にあった『週5~6日出勤』が一気に崩れ、こちらでは週2日~3日が主。しかも、業務時間も3時間とか4時間とか…。
特殊業務
自転車の組立て業務
自転車が購入されたらバックヤードで対象の自転車を組み立てます。
組み立てるとは言っても、取り付けるべきはサドルとペダルとハンドルくらいなので難しい事はありませんが、気遣うべきは『ブレーキ調整』でした。
自転車メーカー基準にもよりますが、当時の自転車のほとんどは納入段階でブレーキ調整が行われておらずにガバガバの状態(というか、外れている)でしたので、これを調整するわけですが、どこの誰が乗るとも分らないブレーキを自分の力加減で調整する行為はどうかと…。
お客さんによっては引き渡し直後に確認ではなく、そのまま運転して帰る人もいたので、ガラス越しによく緊張しましたね。
その他の業務
なし
基本待遇
働く期間が短かったために、印象に残る待遇はほとんどなし
基本給
時給:600円(1992年当時)
時給換算
600円
賞与
なし
この職場のおまけ要素
季節ごとのイベント(子供の日やクリスマス)のみ、極端な繁盛を見せるのがこういった専門店の最大の特徴である事は想像に難くないでしょうが、
そういったイベント期間以外は何をして良いのかが分からないのも専門店の特徴かもしれません。
僕が滞在した期間は全てが暇な時期であり、土日は慣れたアルバイト従業員の独断場でしたので僕の出番はありませんでした。
なので、1日3~4時間程度の業務時間内に行う作業といえば、その日のその時間帯に来るか来ないかもわからないセキュリティーブースの裏側で、当時の流行だったゲームソフトのパッケージを眺め、面白そうなものがあったら裏面の説明文を懸命に読むのみ…。
これでお金が貰えると考えれば天国でしたが、やる事が無い拘束時間内の暇潰しは僕にとって地獄でしたね…。
頂いた称号…?
この仕事で僕が頂いた称号というか、愛称というか、そんな呼ばれ方です。
- すえくん
非常に短い勤務期間となりまして、結果的にはこれだけの呼ばれとなりました。
そして僕に携わった人も少なく、採用面接から基本的な業務の流れを説明してくれた社員さんと、極端な人間不信という事で最後まで言葉を交わす事のなかったもう一人のセキュリティーブース担当者さんが、この会社で付き合いを持った全2名でした…。
…苦痛でした。
一勤務の流れ
同じ接客業でもこうも変わるのかという流れ(閑散期)
09:00~10:00 出社(遅刻込み)
- 入店後、早速セキュリティーブースへ
- 基本的にブースから離れる事を許されないため、ブース裏側周辺でウロウロ…
- セキュリティーブースは基本的に許可された人物しか出入りしないため、話す相手が存在しない(若干1名存在するが、いつも僕から逃げて回っている…)ので、なんとなく出してみる独り言で場を乗り切る…
- 目まぐるしく発表されるゲームソフトも暇な僕にとっては可愛い頻度。多分全てのゲームソフトの裏面にある説明文を10回以上読んだと思う
- たまにブースに訪れるお客さんが最高の会話シーン『有難うございます・少々お待ちください・間違いありませんか?・有難うございました』がこの会社における全ての会話(会話になっていない)。
12:00~14:00 業務終了。逃げるようにスクーターで学校へ。毎日が仲間たちとの感動の再会
この仕事ので知ったこと:暇ほど残酷な仕事は無い
長時間残業や休暇取り消しなど、世を騒がせた労働の在り方・歪んだ基準は数多く、それは今もなお修正が効かない状態で深刻な話ではありますが、
反対にやる事が一切ない業務というのも考えものですね。
『待機』という業務もそれだけで立派な仕事なのですが、僕には合わないと実感しました。
ただ、現在の社会知識でモノを言うならば、さすがは決められた内容を専属に推し進める海外企業というか、
充てられた枠の中の業務をこなしてさえいれば、他には手を出さなくても良い…というか、『出すな』という話なんですね。
だから個人レベルの管理が自然と徹底し、他人任せの考えが出てこないのだと思いました。
これを日本企業で言えば、時間があるからこれをやってもらおう。1人で数か所をどうやって補えるか?
というような、『いかにして同じ労働時間内に多く使うか』という方向の考えに走るわけで、管理の徹底は担当者の滞在期間に限られてしまい、その人の消失と同時に企業の窮地という事態になるわけですね。
この会社(部門)での通常話題
共通も何も、『話題』どころか『挨拶』からありませんでした…(どうしても逃げられる)。
この業種(業務)の長所
在庫管理が自然と徹底される仕組みは凄いの一言ですが、それが単純明快なところがさらにスゴイところですね。
入荷確認を済ませれば、その製品の取り扱いの全ては担当者の責任ですが、難しい話はありません。
例えば10個のソフトが入荷されたと同時に10枚の引換券が発行され、それぞれはバックヤードに現物、売り場に引換券と振り分けられます。
僕としてはそれを持ち込まれた際に引換券と引き換えに対象のソフトを手渡し、残った引換券を対象のソフト列に置いておく。
こうする事でバックヤードには常に『現物+引換券=10』の法則が発生する事になり、ズルさえしなければその法則は崩れる事が無いという話ですね。
説明が無くともここまで理解できる仕組みを作るのは実は簡単ですが、それには少なくとも広い面積が必要なのかも知れませんね。
この業種(業務)の短所
業務の全ては慣れるほどに単調さを感じますが、ここほど単調だった仕事も稀かも知れません。
本家本元の海外店舗では、『余った時間は仕事に支障が出ない程度に自由に使え』といった内容を紹介するテレビを目にした事がありますが、残念ながらここは日本…。
『自由な姿』というのは『サボっている』という認識に直結してしまう、残念な国でもあるんですよね。
なので、僕の場合は壁の裏でボケ~っとしていたわけなんです。
外部に見られなきゃセーフ。外部に知られなきゃセーフ。これもまた日本特有の考えかも知れませんね。
この仕事で知ったこと
様々な取り扱い物には『対象年齢』が備わっており、おもちゃもその1つですね。
それまで僕が目にしていた対象年齢の表記とは『3歳以上』とか『4歳以上』に集中していたらしく、てっきり、『小さなお子様には不向きですよ~』といった意味で、保護者向けの注意書きの一環だと思っていたのです。
今回働いたおもちゃ屋さんの取り扱う内容が『対象年齢14歳まで』という話を聞いた時には、正直言って『10歳以上とかの対象もあるんだ』と思いました。
ある程度の年齢に達すれば、物事の理解に合わせてどんなおもちゃでも取り扱う事ができ、あとは個人の興味に応じて反応が変わってくるものだと考えていたからです。
対象年齢15歳以上の玩具がどんなものかと尋ねられてもピンとくるものが無いのですが、それ以前におもちゃのそれぞれに対象年齢が存在したことが当時の僕にとって驚きでした。
という事で、今回は『超巨大なおもちゃ屋さん勤務』の思い出話でした。
すえ
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