我が身を守る最大の術は『確認する』という意味のチラ見
こんにちは! すえです!
仕事に限らず生きていればどこかで怪我には遭遇するものですが、多くは擦り傷やちょっとした切り傷に集中しているため、普段は事故の深刻性というものには意識する事がありません。
でもちょっとだけ先を考えてみたら、これって実はけっこう怖い事なんですね。
勢いが弱いから『擦り傷』で済む事故があるという事は、それ以上の強い勢いで同じ事故を考えた場合は『擦り傷』で済まされるでしょうか?
『切り傷』だって同じです。傷を受ける事になった原因の勢いや重量、速度がもっとあったならば、その『切り傷』はどこまで深いものとなったのでしょう?
このシリーズである
労働災害実例
安全を無視した結果に起きた労働災害
では、『その1』として既に書き表した『赤チン労災』以外はどれも重症度の高い実例を書き示しますので、内容によっては気分を害するものもあるかと思います。
しかし、未来に続く自分の人生を考えるのであれば安全に包まれた環境というよりも、安全を意識した心構えが無ければ始まらないもので、この意識に欠落がある人は高確率でいつの日か大きな事故に見舞われる事になってしまいます。
内容はその人の先の人生を思えば残酷な部分が多いですが、そういった実例があるからこそ安全の意識が高まる事もまた事実ですので、この先の内容を目にしてあなたがどう感じるかは自由ですが、少なくとも『同じ目に遭いたくはない』と思う事でしょう。
『事実があるからこそ意識付く』
変な話ですが、これもまた真実なのです。
繰り返しますが、気分が悪くなる内容であり、僕の見解もまた気分を害するかもしれません。
先を知る必要が無い方や、こういった内容は苦手とする方は戻る事をお勧めします。
重大労働災害4『高所からの転落による右肩骨折事故』
事故が発生する最大の理由は『油断』ではなく『慣れ』だと思います。
緊張感を持っていれば些細な問題も拡大して見えますが、慣れる程に縮小し、そのまま振り返ることなく時間が過ぎてしまうと…、その緊張感は消えてしまいます。
この話の被災者は新人でしたが、新人としては申し分ないくらいに早い成長を遂げていました。
野心を持ち、なんてことのない毎日の業務に目標を立てる事が出来る会社員としての模範にも出来るような方でしたが、たった1つの確認を怠ったせいで高さ2メートルから転落してしまい、全治4ヶ月か月の大怪我を負う事になったのです。
しかし、僕が書くこのカテゴリの系統を考えれば、彼はこの上なく幸運だったでしょう。
何故なら幼い頃から行っていたスポーツ運動による回復力で見事全快し、再び五体満足という状態に戻れたのですから。
…どうして五体満足に戻れた事をわざわざ書き示すか分かりますか?
察しが良い人はピンとくるかもしれませんが、高所から転落して怪我を負った場合、多くの人は何かしらの後遺症を患うケースが本当に多いのです。
装備する事を忘れたパレット
事故の発端は本当に小さな確認ミスです。
ピッキングフォークリフトにて地上2メートルほどの高さで作業を行おうとした際、足場にする為のパレットを忘れて彼は高所に移動してしまったんですね。
目的場所に到着し、さっそく足場となるパレットに移ろうとしたら、そこにパレットは無く、そのまま転落…。
という、おおよそありがちな展開でした。
事故の結果
何度も上記したように、被災者は右肩を強打して骨折しました。
ほとんど真っ逆さまに転落したわけですが、持ち前の運動神経で頭部からの着地だけは何とか避けたものの、右肩と言えば当然頭部も間近にあるため強打した事には変わりありません。
ただ、意識的に着用していたヘルメットに守られ、脳への衝撃は最小限に抑えられたようです。
とは言え、最悪の事態は回避出来たにしても、大きな手術を必要としたため結局は4ヶ月間ベッドの上の生活を余儀なくされました。
こうすれば事故は免れた
誰でもあるうっかりとして『見落とし・確認忘れ』がありますが、この労働災害例はまさにここに当てはまります。
現場検証をした結果、事故が発生した地点の数メートル手前に本来ピッキングフォークリフトが抱えてなくてはいけないパレットが置かれていました。
事故現場とパレットの位置関係は作業をするためのスタート地点でもあるため、その現場が彼の担当区域でもあった事から彼自身が用意したものでしょう。
という事は、被災者はマニュアル通りにパレットを爪に挿し、その上で作業を行おうとしていたようですが、その際の『確認』が甘かったという判断に至ります。
パレットがちゃんと備わっているかの確認ポイントは、大きく次の5つの『行動』の中で確認可能です。
- パレットをピッキングフォークリフトに挿した時
- 作業現場に移動する時
- 目的現場の地上部分に到着した時
- 目的高度に達した時
- 作業を開始する直前
それぞれの行動を開始する場合、または行動を終えた場合には必ずと言っても良い程に僅かな時間を置く事になり、それは決して長いものではありませんが『振り返る』くらいは十分に出来る時間はあります。
彼の場合は『1』のパレットを挿すまでは確認していたようですが、その後の4か所の確認をしていなかったか、『したつもり』となっていたようです。
本来重要な確認ポイントは『パレットが刺されたかどうか』を確認する所ではなく、『パレットがちゃんと刺さっている状態か』なので、彼に必要だった部分は『2~4』の4か所だったんですね。
その内の1ヵ所でもきちんと確認すれば、『パレットが無い』という重大な問題に気付く事ができ、急ぐ理由も無く何食わぬ顔で戻って挿し直す事が出来た筈なのです。
今回のあとがき
『慣れ』というものは恐ろしいもので、本当に予想外な部分から重大な問題を発生させます。
しかし、問題は重要であってもその原因は些細なものである事が非常に多く、それ故に『慣れ』の怖さが浮き彫りにもなりますね。
単に『見る』か『見ない』かの違いで異なってしまう結果はときに残酷な結果をもたらしますが、全ての事故はこの『見る・見ない』で運命が左右すると言って過言ではないという一例でもあると思います。
これを読むあなたはこんな事が無いようにしてくださいね。
すえ
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